彼は昼過ぎには学校が終わるというので
掃除したりメイクしたりしながらその時間を待つ。
気付くとメールがきていた。


「飯何か作っちゃるよ(絵文字)何がいい?」


彼が!あたしのために!ご飯をつくる!
付き合って3年目っぽい!
2人でスーパーに行くことこそ幸せの形だけど
赤面ものだし彼もスーパーに寄ったあとに
あたしの部屋にくる感じだったのでまかせておいた。


彼がごはんを作る姿をうしろからながめながら愛しいなぁと思う。
「毎日ね、**くん(彼)がここで料理してたら・・・腰痛めそう」
「あー俺もそれ思った(笑)」
1人暮らしをするときにキッチンの高さのことも考慮にいれてて、
あたしが料理をしやすい高さというのは
彼にとって腰を痛めそうな高さであるのだ。
そういうところで彼が男の人なんだと改めて思う。


昼はエリンギのパスタ。
彼は料理上手と自ら豪語するので女の子として不安になったけど、
意外に味が普通で安心しました。
女の子としてのプライド死守。
でも彼が夜に食べればいいと作っていった煮物はおいしかった。
煮物が得意な玉山鉄二似20歳男子。すてき。


そしてベッドの上でぐだぐだ話していると途中で彼が黙った。
数分後すーすーと寝息が聞こえてくる。
ま た か !
起こしてじゃれてまた眠る彼。
やっぱり彼とは付き合って3年目くらいの空気。
そして彼のゲイ疑惑が濃厚に。
なんなの?
あたしが大切なの?興味ないの?やっぱりゲイ?
ベッドの上にいると別の意味でキケンだ。
しかも今回は相当疲れているのか1時間以上眠ってた。
すーすーと寝息をたてる彼のくちびるを見ながら
とてもとてもキスをしたいと思った。
あたしは女の子を部屋に招いた男の気持ちだった。
少しくすんだピンク色の
男の人にしては厚めの彼のくちびるにキスをしたいと思った。
半目で。
半目で。
半目ですらかっこいい彼は何なのでしょう。
神様はとてもすばらしいものをおつくりになった。
彼のお母さんありがとう。


彼はあたしのカーディガンをきて眠っていて、
起きるとそれを脱いであたしに着せた。
彼は不思議なにおいがする。
香水なのかもしれないけどいまだに同じにおいの人を知らない。
ベッドも彼が好きなあたしのファーのマフラーも彼のにおいがする。
このにおいはどのくらいで消えてしまうのだろう。


彼がいなくなったあとのさみしさはこわい。
でも彼といるときはいやなことが全然浮かばない。
彼で頭がいっぱいになる。
あたしも彼にとってそういう存在でありたい。

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袖口につよくかおる彼のにおいでやっぱり香水のような気がする。
マイナーな香水なのかな。
メジャーな香水も知らない20歳女子です。
だって『放課後の音譜』で主人公のお父さんが
好きな人の前で裸になれると思うまで香水はつけなさんなって。