一通りいやらしいことをして散々罵られて
でもMなのでそうやって言われるのがうれしい。
行為が進むたびに彼が遠のいていく。
だからあたしは電話に出てもらえないんじゃないか。
電話にでてもらえないんじゃないか。
電話にでてもらえないんじゃないか…。
本気でそう思ってるわけじゃないけど、疑えるすべてのことは疑う。
因果応報。


時計を見ると2時もまわったところ。
5時起きで仕事に行ったあたしは眠気もピークで
友達を一度引き離して背を向けて睡魔に襲われる。
人に後ろから抱きしめてもらうのって好き。
息苦しくて目が覚めるとまた友達はあたしにキスをする。
3時24分。
胸の位置にある頭を上から見下ろしてるのっていいな。
男の人のまつげフェチなだけです。
起こされてくやしかったので友達の上に乗って攻めた。
あたしの下でもがくがいい!!(ムスカっぽく)


目が覚めると8時。
「どっか行こうよ」
「やだ…めんどくさい」
昨日の朝にお風呂に入ったきりだったので、
お風呂に入りたかったけどバスタオルがなかった。


コンタクトをはずしていたので視界はぼやっとする。
友達は遠目で見ると彼に似ていると思った。
黒髪で、めがねで、身長がちょっと足らないけども。
こんなこと考えて本当みじめだし友達はかわいそう。
でも彼が部屋にいると思うとなんだかニヤニヤ。
あたしの思考を誰かとめてくれ…!
友達はあたしを抱きしめて言う。
「俺ね、**(あたし)のこと好きよ」
「うそだ」
「好きだよ」
「うそうそうそ信じない」
「好きじゃなかったらあんなに長電話する?
 福岡までお金と時間かけて遊びにくる?」
あー、それで!納得!
どうも彼女持ちの人間には安心しきって基準がわからなくなる。
好きって言ってもらえるのはうれしい。
でも悲しい。
今まで好きって言われたぶん全部その人に返すから、
あたしは彼からそのたったひとことが欲しい。
欲しいのに。


しばらくするとむなしくなってキスをしようとする友達をかわし、
時間も時間なので駐車場まで送る。
玄関で友達はキスをしようとする。けどしない。
もうしない。
セブンに寄って友達の車の中で地図を開いて帰り道を説明する。
またキスをされそうになるけど笑ってかわす。
「ありがとう、楽しかったよー」
そりゃああたしのいい顔が見れて自分も
あたしに攻められたんだから楽しかっただろうよ!と
まがった解釈をしながら手を振る。


若いからなのか。淋しいからなのか。
あたしが軽くなればなるほど彼は遠のいていく、やっぱり。
電話かけるのがこわい。
知ってるわけないけど他の男とキスしただろうって言われそう。
いや、あたしの心がやましいからそう思う。
なぜやましいことをしてしまったのだろう。
でもキスも触られるのも好き。
彼がいたらどんなに淋しくても他の男とそういうことしない。
しないよ、神様、みはなさないで。