彼が目の前を通るだろうと思ってバスを待っていたら、
やっぱりそうだった。
あたしは彼に気付かないフリをしたけど、
彼はその時点であたしにきちんと気付いているようだった。
そのあとあたしはバスに乗り込んで右側の一番後ろの席に座った。
そして彼のバイト先の前を通るとき
あたしはそのまま気付かないフリを続けようと思ったのだけど、
視界の右側がちらちらしているので視線をそちらに移すと
彼が笑顔でこっちに向かって気付いてもらおうと手を振っていた。
ええぇー、なんなのその笑顔カワユス!
あたしもつられて彼に手を振ってしまった。
たまらんすなぁ、たまらんすよぉ。
心底地元がおなじでよかったと思った。
あたしは彼が笑顔で手を振ってくれるくらいまでになって、
今まで頑張ってきたこと無駄になってないと思った。
少し泣きそうになってしまった。


今日は後輩たちとバレー!
「**先輩ってあいのこみたぁい」
あいのこて!ハーフじゃなくてあいのこて!
瞬時に痴人の愛のナオミが思い浮かんだ。
フランスっぽいって!肌白いって!カラーが似合ってるって!
そんなに褒めてくれるな、と思ったけどやっぱりうれしい。


イヤホンが壊れたので買って帰りたかったけど、
あまりに暑かったので断念してバスに乗った。
あしたまで持ちこたえてくれるかな、左耳。