あまり可愛い人と喋れなかったから、
嫉妬してくる先生をかまってあげたり。
でもやっぱりまだ拗ねてる。
少しはやめに学校を出て寒い外を駅まで歩いた。
ホームで電車を待っていたら、向かい側のホームから視線を感じた。
あたしは目が悪いから最初は誰かわからなかったけど、
手の振りかたと背の高さであたしの可愛い人だとわかった。
手を振り返した。
たまに振り返ってくれるから笑顔のままでいた。
途中で特急があたしと可愛い人の間を通り抜けていたとき、
次にこっちのホームを見てあたしがいなくなっていたら
可愛い人はどんな反応をするだろうと思った。
アナウンスが流れてまた手を振ってくれたので、また手を振りかえした。
待っていた電車がやってきてあたしはそれに乗り込む。
この電車が動いたとき可愛い人はもう一度振り向くと思った。
あたしの中の小さな賭けだった。
やっぱり可愛い人は思ったとおりに振り向いて、
あたしは緩む口元を隠すのに必死だった。


苦手な女の子がいるけど好きになろうとしてる。
最初から拒まないようにしてる。
笑顔でいれば相手だって笑顔になってくれる。
一緒にいたら相手が悪口言えないくらいに
穏やかな気持ちにさせられるような人間になりたいと思った。
今日はひどくそう思った。