いつ連絡とれなくなるかわかんないから電話するたび緊張して
その日のバイトの休みを真っ先に書いた
ギリギリのスケジュールを割いて洋服を買いに行ったりした
本当はまだ眠りたいけど少しはやめに起きて
メイクしてゆるく巻いて
鏡の前でああでもないこうでもないって悩んでた
忙しくて散らかったままの部屋も片付けた


今日のため
すべては今日のため


でも約束の時間はもう過ぎている


もう二度とこんなことにはならないと思ってた
対等に付き合う気があるから
前回彼は謝ったしわたしは許したはず
だから電話できない
だから確かめられない
もう離れるという選択肢しかなくなるから


アイライン消えてるなぁ
時間の言い間違いだったらいいのに


という戯言を書こうとしたら電話がきました
事後で謝るより事前に断れ!
うまく笑える自信ない!ばーか!


アイラインもっと消えたよ
描き足してデートしてくる


一緒にいると基本的にローテンション
少し機嫌が悪いわたしはさらにロー
でも1分で彼のペースに巻き込まれて白旗で
思い通りにならないことがひどく気に障った
いつもはへらへらしているのに


ずっとずっとしたかった大濠デートも
虚しくてどうしようもなかった
わたしの目に映ったのは彼の後ろ姿ばかりだった
こっちをむいてよ


彼には彼の世界があって
それは別段気になることじゃなかったのに
あの事件から見たこともない女の子の影がチラついて
頭抱えて叫びたくなる


最後は機嫌もなおって彼の運転で地元まで
重い沈黙と心地いい沈黙を繰り返しながら
時々他愛もない話をぽつりぽつりと交わした
「じゃあ、またね」
「うん、またね」
まだこのわからない関係は合意の上続くらしい


彼の手で触られることに拒否反応はなかった
むしろ自分から彼の手に触りたかったしキスしたかった
理性なくなっちゃえばいいのに
6年分の時間は欲望を制止するのに十分だった


会いたいけど会いたくない
忙殺されていよう
考えなくていいほど