バイトは長期メンバーが少なめのでも安定したメンバーで
お客様の入りも引きも理想的な1日だった。
心地よい疲労感。


近頃はバイトがいちばん好き。
バイト入る前に裏で同じ時間に入る人とお話して
バイト中は常にお客様の動きを見続けて
バイト終わって着替えてまた裏で
同じ時間に上がりの人とお話する。


今日は同じ時間に上がった人がいなくて、
お話したい気持ちを抱えながら外に出て
暗い路地を大通りに向かって歩いていたら
バイクに乗ったハニーに話しかけられた。
ハニーはラストのはずなのになぜ。


「ラストのやつとごはん食べいく約束しとるんに
 ラストのはずがあげられたっちゃん」


これは誘わないわけにはいかないと思って


「じゃあわたしと時間まで何かしましょうよ」


と口をついて出た。
そうだよ衝動はこういう風に使うんだよ。
覚えておけよわたしの脳みそ。


「とりあえず送る」


と言われて
これは送られるだけのパターンかと思っていたら
マンションに駐車場があるか訊かれたので
送るだけのパターンじゃないと認識するとともに
これは部屋に入れていかがわしいパターンかと心配する。
いそがしい脳みそ。


メットを渡されてハニーのバイクに乗ろうとしたら
キッチンの人が後ろからバイクでやってきて
でも動じないハニー。
そうですねやましくないですもんね。


あの夏のときみたいにハニーの後ろに乗る。
安全運転で。


つづく。