クマを作って学校に行っても気が気じゃなくて
帰って髪も巻きなおしたりして約束の19時を待つ。
あと5分もしないで19時になるのに携帯はちっとも鳴らなくて
忘れられてたらもう当分立ち直れないな…と思いながら
でも19時までは!と思って待った。


3分前。
でも着信に気付かずに1分後かけなおす。


彼が乗ったバスは天神行きだというのであたしも天神に行くと
伝えたらどうもそのバスはマンションから近いバス停も通るらしく
それならとマンションに近いバス停で降りてもらうことにした。


マンションの場所を覚えてた彼はエントランスまでやってきて
あたしに着いたよと電話をかけてきた。
電話をつなぎっぱなしにしてエントランスに下りて
郵便受けの前に座り込んでいる彼を発見。
スーツでくると思ってなかったから驚いた。
今日は色々卒業研究とかの関係で市役所やらを回ってたらしい。
おつかれさま。
あたしのあげたポールスミスのネクタイをつけてた。
前回会ったときもそうだった。
うれしい。
彼は気に入ってくれてるのかな。
白のコットンワンピにファーのマフラーをしてたあたしを見て
「ふっわふわやね」
と彼は言った。なんだかうれしい。


近くのラーメン屋さんに行って色々お話。
ラーメン屋って色気ないですね。
15歳のときからの付き合いだから何をいまさらって感じです。
むしろそうやって格好つけないでいられる関係がいい。
安心する。家族みたい。
彼はあたしのつけてたファーを手にとって自分の首に巻いてました。
お気に入りみたいです。
「鎖骨にほくろがある人は勝負運があるんだって」
「まじで?」
と言ってあのネクタイをはずす仕草を!あはーん!
ためらったものの触れと言われてるようなものなので
遠慮せず触らせていただきました。
あとネクタイの巻き方がわかんないと言ったら
彼はネクタイをあたしの首に巻き始めた。
至近距離すぎて吹き出してしまった。
この前彼が左利きだと知ったように
あたしはまだ彼について知らないことがある。
思い出せないこともある。
たとえば彼の指がそんなに長くないこととか小さな歯とか。
そうやって発見していくことも愛しい。


いつも彼に物質的なお礼をしてしまうあたしは今回はしないと決めてた。
というのも彼はそうやって意識してなくてもあたしが
そうしてしまうことで物質的なお礼目当てにあたしに会ってると
認識して欲しくなかったから。
でも自分の分くらい自分で払うつもりでいたら彼はいつのまにかお会計してた。
あたしの分は400yenで小銭がなかったので1000yenを
お店を出てから渡すと彼は一度受け取ってあたしに返した。
「いいよ」
「でも」
「じゃあ今度小銭できたら連絡して」
いや、あしたにでもできますけど!
とか思いながらこれも次の約束だと思ってうれしかった。
それからお別れみたいな雰囲気になって離れがたくて
マンションの前で彼と喋っていたらトイレ貸してと言われて
あたしの部屋にあがることになった。


友達から借りた漫画を思い出して彼に渡してみると速読。
2冊を1時間で読んでた。
浅野いにおの『おやすみプンプン』と『虹ヶ原ホログラム』の2冊。
はからずも引き止めることに成功した。
あたしはテレビをつけて彼の隣でぼーっとみてた。
こういうのでいい。
こういうのがいい。
こういう日常をおくりたい。


今日はごめんって絶対言わない。
ありがとうって言うって決めてた。
彼が帰ってしまって少ししてメールを送った。
「時間つくってくれてありがとね」
すると少し時間が経って返事がきた。
「いいよ
 また面白い本あったら見せてw」
だって。
浅野いにお効果すごい。
じゃなくて今回はそれほど彼のペースに飲み込まれることなく
かといって自分のペースに巻き込んだわけでもないけど、
後をひくような幸せな時間でした。


11月になったら小銭できたよって連絡しよう。
もっと寒くなるといいなぁ。




で昨日のことなのにこんなに長々と書いてしまった。
今日は1限は遅刻だけど出席しようと思えばできた。
けど2限のスピーチの原稿ができてなかったので出席せずにパソコンをかたかた。
先生ごめんなさい。来週は出ます。


あまりに眠たかったので1回家に帰って気がついたら夕方。
このままマンションで眠っていたい気持ちだったけど
シスアドのために大学に戻って図書館でお勉強。
21時半まで頑張った。