バイトは変に忙しかった。
今日もラストだった。
テーブルを拭きながら彼のことを考えた。
あたしは散々彼が優しくないとか人間じゃないとか思ってたけど、
本当はとても優しかったのかもしれない。
自分の考えの狭さに愕然とする。

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なんでそういうこと言えるの?
親のすねかじりだね、って。
そんなのわかってるよ。
あたしが環境に流されやすくて勉強もおろそかになって、
大学全部落ちてしまうような娘で本当に頭おかしくなりそうだったのに。
でも人にわかんないようにしてた。
親もあたしが浪人してもいいって快く言ってくれる。
じゃああたしは前向きに受け止めて頑張るしかないじゃないか。
なのに。
あたしがそんなのいちばんよくわかってる。