授業が終わってすぐにヤツに会いにいった。
最初の授業を遅刻するほど洋服も悩んで、
きちんと化粧もしたのにヤツがあたしをその目でとらえたのは一瞬。
でも知ってるよ。
さっきあたしを見て呆気にとられたような顔したこと。
ヤツはスーツだった。男前。前よりもっと痩せた。
ヤツの声は聞けなかった。
でも冷たくされればされるほどに、目標を手に入れたくなってくる。
あたしは中学の教員になります。
傘を忘れてきてフラッシュバック。


いくらマゾと呼ばれても数学にいじめられてることには
快感をおぼえることができませんでした。
先生からは散々「目がウツロ」と言われ、
睡眠は?食事は?と心配され、
背理法で解く問題がひどく面白くて笑いが止まらなかった。
問題は解けないのに、脳ミソ溶けそうだった。
21:20まで粘ってみたけど(最高記録!)終わらなかった。


可愛い人と駅まで帰った。
近くで事故があって通行止めになっていたのでまわりみちをして。
数学で疲れきっていたので今日は可愛い人を散々困らせてしまった。
「もうちょっとやらなきゃいけないことあるんだけど」
と、立ち上がろうとするので
「やだー、ずっとここにいてー
 お願いだからあたしのかわりに悩んでー」
酔っ払いの相手をするような感覚だったんだろうな。
マフラーも学校に忘れてきてしまった。
可愛い人とふたりになると真剣な話をよくする。
今日のテーマは、「今をどう生きるか」


駅で学校の男の子たちがいて一緒に帰ることにした。
快速で止まる駅が最寄駅の4人。
ひとりずつ減っていく夜の快速電車。
土曜日は人を集めて勉強をするらしくて、あたしは強制参加だそうだ。
数学の講師その3としてまねかれるのだ。
文系なのに。むしろこっちが数学で悩んでる。
「雨が降ったら、寒かったら、起きれなかったら行かない
 それから時給は900yenで雇われます、お願いします」
と言っておいた。
自分が理解するのは簡単だけど(数学は例外として)、
人に教えるのは難しい。


友達から謝罪のメールがきた。
少しは悪いと思ってたんだね、よかった。
完全にあたしの情緒不安定も原因になってるので、
あとでつらつら長いメールを返す。充電してから。
当分はギクシャク。